Pro Tools 2024.3ソフトウェア・アップデートでは、MIDIの新しいワークフローと、Pro ToolsとSibelius間のシームレスなMIDIコピー&ペースト機能、Pro Tools内部レンダラーを使用してDolby Atmosのライブ・リレンダリングをプリントやモニタリングする機能、Melodyneおよびクリップエフェクトのタブを独立表示、Pro Tools Sketchの機能強化も含まれます。
新機能の詳細は、What’s New in Pro Tools 2024.3ガイドとリリースノートをこちらでご確認ください。最近のリリースの概要などについては、Pro Tools新機能ページをご覧ください。
MIDI エフェクト・プラグインのサポート
MIDIエフェクト・プラグインを使用すると、複数のノートのトリガー、ベロシティとピッチの変更、リフ、リズム、アルペジオの自動生成まで、リアルタイムで調整およびオートメーションできます。
詳しくは、MIDI エフェクト・プラグインのブログをご覧ください。
MIDIプラグイン&シグナル・フローについて(日本語解説)
Pro Tools 2024.3 MIDI プラグイン
Pro Tools と Sibelius 間での MIDI コピー&ペースト
Pro Toolsでは、Sibeliusスコア作成アプリケーション(バージョン2024.3以降)との間でMIDIをシームレスにコピー&ペーストできるようになりました。Pro ToolsからクリップボードにMIDIをコピーし、ノート、ピッチ、ノートの長さ、クリップ内のタイミング/位置、クリップ全体の連続したコントローラー・データなど、関連するすべてのMIDI情報をSibeliusにペーストできます。反対に、Sibeliusのパッセージ選択またはコンダクター・トラック全体を関連データとともにコピーし、Pro Toolsに直接ペーストできます。
詳しくは、ブログをご覧ください。
Pro Tools と Sibelius 間での MIDI コピー&ペースト機能について(日本語解説)
SibeliusとPro Tools間のMIDIコピー&ペースト
Dolby Atmos カスタム・ライブ・リレンダリング
Pro Tools 2023.12では、Dolby Atmos®ミックスの内部レンダリングが導入されました。Dolby Atmos Rendererアプリケーションをすでに使用していたユーザーの多くは、外部のライブ・リレンダリングを利用して、ステムをモニタリングし、Pro Toolsにプリントし直していましたが、リレンダリングは遅延補正されず、レコードパス後に手動で調整する必要がありました。一方、Pro Tools内部レンダラーは、遅延補正されたヘッドフォンとラウドネスのリレンダリングが可能でしたが、Dolby Atmos Rendererアプリケーションほどの柔軟性(および同時リレンダリングの数)はありませんでした。
Pro Tools 2024.3では、バイノーラル、2.0、5.1、7.1、5.1.2、5.1.4、7.1.4 (Pro Tools StudioおよびUltimate)、9.1.6 (Ultimate) のカスタム・ライブ・リレンダリングが可能になりました。ミックスの追加コピーをさまざまなフォーマットで作成できるだけでなく、グループを使用して、音楽やエフェクトなど、ミックスの一部をレンダリングすることもできます。同時ライブ・リレンダリングに制限数はなくなり、その数はコンピューターの処理能力に依存しますが、その際のパフォーマンスも大幅に最適化しました。
カスタム・ライブ・リレンダリングを使用して、遅延補正されたステムをセッションに直接出力できます。これにより、さまざまな構成を個別にモニタリングし、リミッティングを適用し、パンチング後にステムを簡単にQCし、ミックス終了後にステムをファイルとしてすばやくエクスポートできます。
また、Apple 空間オーディオを使用したミックスのモニタリングも簡単になりました。Audiomovers と Embody は、7.1.4 のリレンダリングによって供給されるトラックに配置できる Apple空間オーディオをモニターするためのプラグインを提供しています。
Dolby Atmos内部レンダラーが最初にリリースされたときに導入されたヘッドフォンとラウドネスのストック・リレンダリングは引き続き使用できますが、カスタム・リレンダリングとは動作にいくつかの違いがあります。
ストック・リレンダリング
- フルミックスのリレンダリングのみを許可し、特定のフォーマットをサポート
- ラウドネス: 5.1および2.0
- ヘッドフォン: 2.0およびバイノーラル
- Pro ToolsのH/Wバッファサイズに従い、必要に応じてレイテンシー・モニタリングを低く抑えることができます。但し、バイノーラル処理は、より大きなバッファサイズでのみ使用可能です
- Dolby Atmos Rendererウィンドウのミュートをフォロー
- バウンス不可
カスタム・リレンダリング
- Dolby Atmos内部レンダラーがサポートするすべてのフォーマットをサポート
- Pro Tools H/Wのバッファサイズ設定に従わない - 最高のパフォーマンスを得るために、常に可能な限り高いバッファサイズで動作するため、レイテンシーの低いモニタリングには使用できません。これは、H/Wバッファサイズの設定に関係なくバイノーラル処理が可能であることも意味します
- Dolby Atmos Rendererウィンドウのミュートに従わない
- バウンスミックス・ウィンドウからバウンス可能
リレンダリング以外の、2024.3 でのDolby Atmosの改善点は次のとおりです。
- カスタム・ベッド・サブパス
- Dolby Atmosタブのベッドにカスタム・サブパスを追加できるようになり、Dolby Atmosを利用した以前のPro Toolsセッションとの柔軟性と互換性が向上
- 追加のADMメタデータ
- WAV ADM BWF ファイルに関する追加情報を、セッションデータのインポート・ウィンドウで表示
- ADMインポートの簡素化
- WAV ADM BWFファイルをインポートする際に、互換性のあるパスを再利用するようになり、必要な I/O設定構成の量が減少
- Dolby Atmos Rendererウィンドウのローカライズ
Pro Tools Sketch の機能強化
2024.3 では、Sketchウィンドウと無料のiPadアプリに以下の機能強化が加えられています。
Sketchアップデートについて(日本語解説)
Sketch ウィンドウ
- SketchからPro Toolsにドラッグする際のミキサー設定や、Pro ToolsからSketchオーディオ・トラックにMIDIをオーディオとしてレンダリングするなど、SketchウィンドウとPro Tools編集ウィンドウ間のドラッグ&ドロップを改善
- Pro Toolsセッション・フォルダに保存する際に、Sketchドキュメントを自動ピン留め
Sketch iPad アプリ
- オーディオクリップやMIDIクリップの録音時にカウントオフが可能
- アカウントにログインするとLoopmastersの500MBのコンテンツ・ライブラリをダウンロード可能
Pro Tools Sketch カウントオフ
Pro Tools Sketch Loopmasters コンテンツ
Melodyne とクリップエフェクトの独立したタブ
Pro Toolsの編集ウィンドウの下部には、MIDIエディタ、ARAプラグイン、クリップ・エフェクトのタブがあります。本バージョンでは、Celemony Melodyneとクリップエフェクトのタブを独立した別々のウィンドウとして表示でき、動かしたり、フルスクリーンモードにしたり、別の画面に移動したりできるようになりました。詳細については、こちらのビデオをご覧ください。
ARAタブの独立表示について(日本語解説)
MacOS 14.3 SONOMA サポート
Pro Tools 2024.3はmacOS 14.3に対応しています。詳細と既知の問題の一覧については、こちらをご覧ください。
ビデオ・エンジン無効の維持
ビデオを含むセッションを開くときでもビデオ・エンジンを有効にする必要がなくなりました。作業時にビデオを表示する必要がない場合に、そのリソースを節約できます。
利用条件
Pro Tools 2024.3リリースは、サブスクリプション、または永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザー、およびすべてのPro Tools Introユーザーにご利用いただけます。Avid Linkからアップデートするか、Avidアカウントでもダウンロードできます。Pro Tools Sketch iPadアプリのアップデートは無料で、こちらから入手できます。Pro Toolsのソフトウェア・アップデート+サポートプランを更新する必要がある場合、または最新バージョンに更新したい場合は、こちらのオプションをご覧ください。また、Pro Toolsを初めて使用する場合は、30日間の無料トライアルで最新バージョンをお試しいただけます。
このリリースの詳細については、Avidアカウントで利用可能な新しいドキュメントを参照してください。
Dolby AtmosはDolby Laboratoriesの登録商標です。Celemony、Melodyne、DNA Direct Note Access、ARA Audio Random AccessはCelemony Software GmbHの登録商標です。